曝露療法をするときに大切になることです。
◆ネガティブな感情をあるがままに受け入れる
曝露療法をやり始めて間もない頃は、ネガティブな感情に襲われたときに、反射的に、そのネガティブな感情を避けたり、拒否したくなることもあるかもしれません。
しかし、それをしてしまうと自分の症状を回復させることは難しくなります。
その理由は2つあります。
『避けたり拒否すると、感情と直面することが出来なくなるから』
ネガティブな感情を避けたり拒否すると、症状を回復させることは難しくなります。
なぜなら、ネガティブな感情(または、トラウマの記憶)を避けたり拒否すると、そのネガティブな感情と直面することが出来なくなるため、「私はネガティブな感情に対処できない」という今までの体験を「私はネガティブな感情に対処できる」という新しい体験に書き換えることが不可能になるからです。
自分の症状を回復させるためには、ネガティブな感情をあるがままに受け入れることによって、その感情と直面し、「私はネガティブな感情に対処できない」という体験を「私はネガティブな感情に対処できる」という新たな体験に書き換える必要があります。
けれども、ネガティブな感情を避けたり拒否すると、そのネガティブな感情と直面することが出来ないため、そういった体験の書き換えを起こすことは出来ません。
そうなると、症状は回復はしていきません。
『避けたり拒否すると、「悲観的な思い込み」を、いつまでも心に抱き続けなければならなくなるから』
ネガティブな感情を避けたり拒否していると、自分の人生を苦しめる大きな要因である、「悲観的な思い込み」を、いつまでも心に抱き続けなければならなくなります。
そのことは、「PTSDの持続エクスポージャー療法」に載っている、次の文章を見ても分かります。
『PTSDになった多くの人は、不安を感じる所に長くいると、不安はいつまでも続くとか、どんどん大きくなると信じています。けれども、もしその場にそのままとどまっていれば、不安が減ってくることが分かります。こういうことを馴化(habituation)と言います。こうしたプロセスの結果、症状も軽くなるのです。』
『患者は不安が永遠に続くとか、逃げ出さない限り不安はなくならないと誤って思い込んでいるが、馴化が生じるとそうした思い込みは否定される。多くの患者は、自分は到底不安に耐えることができないと思い込み、「自分がおかしくなったり」「コントロールを失う」のではないかと恐れているが、不安への馴化が進めば、自分が不安に耐えることができることや、不安があるからといって「自分がおかしくなったり」はしないことが分かってくる。』
うつ病・トラウマの症状に侵されると、ネガティブな感情に圧倒される日々を送らなければならなくなるため、あなたは今までネガティブな感情に襲われたときに、「私にはどうすることもできない」と考えてきたかもしれません。
でも、実際は、曝露療法でネガティブな感情をあるがままに受け入れることを実践すれば馴化が生じるため、「手順を踏んで向き合っていけばネガティブな感情は軽くなる」「実は怖いことはない」「自分はうまくやっていける」ということが分かるようになります。
このように、ガティブな感情をあるがままに受け入れることを実践し、その結果、馴化が生じれば、「私にはどうすることもできない」という今までの自分の考えとは、全く逆の体験をすることが可能です。
したがって、その「私にはどうすることもできない」という考えは真実ではありません。それは今までの経験から来る思い込みにすぎません。
けれども、ネガティブな感情を避けたり拒否したりして、そのネガティブな感情との直面を避けていると、いつまでも「私にはどうすることもできない」という考えを覆すことができません。
そうなると、この世の中は危険で自分は無力だといつまでも信じ続けるようになってしまうため、うつ病・トラウマの症状を克服することが非常に難しくなります。
このような理由があるので、ネガティブな感情に襲われたときに、それを避けたり拒否していると、自分の症状を回復させることは難しくなります。
ただ、ネガティブな感情に襲われると、逃げ出したくなるような感覚を体に感じるため、思わずそういった反応をしてしまうのは、ある程度、仕方のないことだと思います。
それは、世の中の多くの人がやっている普通のことであり、誰しもやってしまう当たり前の反応です。
けれども、そういった避けたり拒否する習慣を逆転させなければ、自分の症状を回復させることはできません。
そのため、症状を回復させたいのであれば、ネガティブな感情に襲われたときは、避けたり拒否したりせず、そのネガティブな感情をあるがままに受け入れることが大切になります。
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